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0426   comment (0)

ほら、あれですよ。
天気悪いし。
ニュース暗いし。
だから適当に打鍵してると、書くものもなんだかアレになってくるわけで。

・・・はい、言い訳です。
そんなこんなで、dddd史上最悪にアレな感じのものが出来上がってしまいました。
貧乏性なので載せてはおきますけど、本当に、本当にどうしようもないので正直言って見ない方がいいんじゃないかと思います・・・特にシオンのファンの方
ある意味では究極にシオンムウだとは思います。しかし読後の苦情は勘弁して下さい。







午前二時のこと



もはや生だろうが土がついていようが何でも良かった。咀嚼していなければ吐き気が襲ってくるからだ。吐かないために食べ続けた。だが限界は時々やってくる。顎が疲弊して動かなくなった時、膨張した胃が噛み砕き切れなかった大きなかたまりを押し戻した時、飲み込んだはずのものが凄まじい勢いで逆流した。流しがすぐそこにあるのだけが救いだ。

味など随分前に感じなくなっている。舌は麻痺しているようだった。舌だけではない、繰り返す嚥下と嘔吐に咽喉の筋肉もすでに感覚を放棄し、冷たいものも大きいものも素通りさせている。それはそれで楽ではある。不規則にやってくる限界を読みきれないのは難点だが。
何かぐにゃりとしたものを噛み続けながら、汚れた指を見つめた。素手で食物―――と言っていいのか分からない、調理されてはいないから、ただの食材と言うべきかも知れない―――を掴むのは何時以来だろうか。長い戦いをする時には、野営の陣を張ることも幾度かはあった。その時の昂揚した感覚には幾らか似ている。生焼けの肉を食らうときの、あの自分でもよくわからない乱暴な気持ち。友人には少しだけ話したことがある。眉を顰めながらも、分からないことはない、と言ったのはただの優しさだったのだろうか。本当にそうかと、聞いておけばよかった。

胃が空になるのが恐ろしい。だからひたすら噛んで、飲み込む。吐いたらまたやり直しだ。慌てて口にものを運ぶ。時折一緒に自分の爪を齧る。特に左手の人差し指は噛みやすいようで、ぼろぼろと柔らかくなっていた。
何故こんなことに、そう思わないことはないが、原因が分からないわけでもないのでどうしようもない。取り除く術はふたつ、どちらも耐えられそうもなかった。弱くなったのではない、元からそんな選択肢は存在していないだけだ。選ぶくらいならこの無様な時間を隠し続ける方が容易い、そう思ったばかりだというのに。

聞こえて欲しくない声が聞こえる。
暗闇に灯した小さなあかりのような。きっと大きく口を開けたならひとくちぶんの、

(…オン?シオン、起きていらっしゃるのですか?どこに・・・)

やめろ、来るな。

何度目かの胃液の逆流を感じ、口と腹を抑えて蹲る。音を立ててはいけない。彼が此処に来てしまうなら尚更、許し難い。
暴力的なまでの食欲に負ける惨めな師の姿を見せることが怖いのではなかった。ここまできて面子などと馬鹿げたものに拘るつもりはない。もとより、体面にあまり重きは置かない。恐ろしいのは、もっと別のことだ。

(こちらですか?こんな時間に、)

近づいてくる足音に胃が収縮した。まるで歓喜。絶望的な気分とは裏腹に、欲望を司る内臓はどこまでも正直だ。邪魔なものを全て押し流そうと、更に蠕動する。呻き声が抑えられなかった。

本当は、この飢餓を満たすものが他にないと知っている。だが食べてはいけない、二度と吐き戻せないことは分かっているのだ。

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